実験・自由研究のおすすめ2020|簡単おもしろ科学、化学、理科、工作のネタ帳

夏休み冬休みの宿題に役立つ、身近な材料を使って簡単にできる実験や自由研究の各テーマを紹介しています。なぜを楽しくおもしろく科学の不思議を探検しましょう。

科学の謎

ブラックホールにならない中性子星,分岐点は?

更新日:


中性子星は,超新星爆発後にできる半径 10 km 程度のコンパクトな超高密度天体であり,1932 年に中性子が発見された直後にはその存在が予言され,1967 年,パルサーとして見つかった.
中性子星は,重い恒星が超新星爆発したとき中心に残る,中性子物質でできた世の中で最も高密度な天体であるが,その中性子物質が支えられる質量には上限がある.その上限をこえるとブラックホールになる.巨視的なパラメータである質量上限は,一般相対論から導かれる球対称物質の重力平衡に関する方程式と,物質の圧力と密度の関係である状態方程式で決まる.この状態方程式は,核力を含むバリオン間の相互作用を反映している.そのバリオン間の相互作用は,クォークの力学である量子色力学(QCD)から決まる.このように中性子星の研究は,中性子物質の性質を通して,核子やクォークの微視的な世界と密接につながっている.
質量上限を,2 つの核子の間の相互作用である 2 体力だけを考慮して求めると,太陽質量の 1.8 倍程度になる.しかし,超高密度である中性子星の中心部では,中性子がストレンジクォークを含むハドロンであるハイペロンに変わるプロセスが起こりうる.ハイペロンと中性子の間にはパウリの排他原理が効かないので圧力が下がり,中性子物質は柔らかく,中性子星の質量上限は小さくなってしまう.
一方,最近の連星系パルサーの観測から,太陽質量の 2 倍程度の中性子星が発見されているのだが,このような大きな質量上限は説明できない.
近年,3 つの核子の間に働く 3 体力の研究が進展してきている.3 体力は高密度領域において斥力として働くため,中性子星の質量上限を説明するうえで重要になると考えられている.また,格子 QCD 計算の進展により,クォークの自由度から第一原理的に核力を含むバリオン相互作用を研究することが可能になりつつある.これらの研究をもとに中性子星の質量上限を理解するという,新しい挑戦がはじまっている。

参考にしたURL:https://www.jps.or.jp/books/gakkaishi/2016/04/71-04_70fushigi01.pdf

-科学の謎

Copyright© 実験・自由研究のおすすめ2020|簡単おもしろ科学、化学、理科、工作のネタ帳 , 2021 All Rights Reserved Powered by STINGER.